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記者レビュー ETV特集「1000番地」

 都市というエリアは、限られた土地に人を詰め込むことによって成り立つ。高層の建築物があれば、より効率的に人を集められる。そのためにはある程度の広さが必要で、まとまった土地は巨大な利益を生む。

 ネットフリックスのドラマ「地面師たち」が注目を浴びたのは、刺激的な展開もあるだろうが、何より土地に渦巻く人間の欲望に、視聴者が心ひかれたからではなかろうか。

 ETV特集「1000番地 土地と人間に関するリポート」(Eテレ、11月2日夜11時)は、土地に秘められた人間ドラマを掘り起こしたドキュメンタリー。6月にNHK札幌放送局が地域情報番組「北海道道」で放送したものを再構成した。

 札幌市街地にある、810坪の土地。駐車場のど真ん中に築98年の長屋がポツンと立っていた。この4月に再開発のために更地になったのだが、どうして都市の中心部にこんな土地が残されていたのか。

 数々の謎について、屯田兵として開拓した者のその後や、不動産業者、飲食店主をつぶさに追って明らかにしていく。変わりゆく都市という大きな物語と、一人の人生という小さな物語が交わり合う様は、フィクションとは異なる力を感じる。最後に映し出されたその土地の現在は、現実のままならなさを浮き彫りにしていて、切ない。(照井琢見)

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